By Ryoji Itako
ピュア・ストレージ・ジャパン(Everpure)は年次イベント「Pure Accelerate 2026 Tokyo」と記者発表において、業績報告、データ主権に関するグローバル調査結果、そしてAI向けデータ管理の新機能を発表しました。
売上高は前年比38%増、利益は77%増と大幅に伸長しています。インフラサービス「Evergreen//One」は年間売上10億ドルを突破し、ハイパースケーラーでの採用も増加しています。
ガートナーのマジック・クアドラントでは2026年ストレージ分野でリーダー評価を獲得し、日本市場でもIDC 2026年Q2においてオールフラッシュ・アレイで2位のシェアを確保するなど好調です。

同社が注視するテーマは「データ主権」であり、2026年月の調査では西欧・アジア太平洋の8カ国、計2100名(日本300名)が回答しました。グローバルでは90%がデータ主権をIT戦略の中核と認識する一方、64%は正式な戦略を持っていません。日本では未策定が53%で、認識と実行のギャップが際立っています。88%の経営幹部が「データ主権の欠如は進退問題になりうる」と回答し、規制の変化や地政学リスクへの懸念が強まっています。暗号化だけでは主権問題は解決しないとの指摘もあり、外国法域によるデータアクセスの可能性や裁判所命令の非公開性など、見えにくいリスクが存在します。85%は主権確保のため高度機能の一部を犠牲にしてもよいと回答し、企業は「ミニマム・バイアブル・カンパニー」的な発想で中核機能に集中する傾向が見られます。
提言としては、①データ所在の監査と可視化、②リスクごとの主権化の定義、③AIに向けたデータ主権基盤構築、④経営陣の巻き込み、⑤地政学リスクを踏まえた出口戦略の策定が挙げられています。主権は後付けできず、「ソブリン・バイ・デザイン(設計段階での主権定義)」が必要だと強調されています。
AI向けデータ管理の新プラットフォームと製品が紹介されました。データ中心アーキテクチャへの転換を掲げ、ダークデータを可視化する「Everpure Data Intelligence」、圧縮済みデータでも2:1削減を実現する「DeepReduce」、性能と容量の両軸で購入可能になるEvergreen//OneのSLA改善、LLM推論を最大20倍高速化するKVA強化とNVIDIA Dynamo連携、トークン費用最適化のための「Intelligent Token Optimization」などが発表されています。さらに、Portworxのオブザーバビリティ強化、FusionによるSLAに応じたワークロード再配置など、AI基盤の運用効率を高める機能も追加されています。
創業者コルグローブ氏は、AI基盤選びでパブリッククラウド依存が過度であると指摘し、変化の速い領域では単一方式への固定化がリスクになると述べています。GPU投資の回収期間が想定より大幅に短縮した事例も紹介し、同社のKVキャッシュによる性能向上を強調しました。
総じて、Everpureはデータ主権の重要性を強く訴えつつ、AI時代に向けたデータ中心の基盤構築を企業に促しています。日本企業は認識は高いものの実行が追いつかない状況にあり、可視化・主権設計・AI基盤の刷新が急務であることが浮き彫りとなっています。










