Friday, November 6, 2026

航空旅行にもたらす新しい安全と信頼

安全でシームレスな旅行を追求する日本電気株式会社(NEC)

航空旅行は、長い行列や書類手続き、幾重にわたる同様の書類確認といった煩雑さをなくす変革の真っただ中にあります。変革には、空港と航空会社が、生体認証と相互運用可能な標準規格に基づくデジタルIDを中心に、旅客の体験全体を再設計する必要があります。

日本電気株式会社 (NEC) は、数十年以上にわたる電気通信分野での経験と、生体認証・AIといった先端技術を活用する企業として、この利便性を世界の空港へ広げることに積極的に取り組んでいます。NEC DID統括部Aviationグループディレクターの野村隆志氏は、「今や私たちは誰もが皆、デジタル旅行者です」と強調します。

NECは、顔・虹彩・指紋・掌紋・声、さらには耳音響認証といった先進的な技術まで含む生体認証の研究開発を長年続けてきました。その結果、同社は生体認証・認識技術の世界的リーダーとしての地位を確立し、顔・指紋・虹彩認証は速度と精度の両面で業界トップクラスの評価を得ています。

NEC DID統括部Aviation グループディレクター
野村隆志氏

これらのマルチモーダル技術は、NEC独自のデジタルIDプラットフォームの基盤となっており、公共の安全から大規模な市民サービスまで、さまざまな場面で個人を安全かつシームレスに認証する仕組みを支えています。

NECが目指す「シームレスな旅行」とは、空港のキオスクやカウンターからではなく、自宅でのスマートフォンの操作から始まる旅行体験です。野村氏は、旅行は「真にシームレス」であり、高度に安全・スマート・迅速・合理化されているべきだと語ります。この「自宅から飛行機の座席まで」のビジョンは、一部のデジタル旅行者だけでなく、すべての人に向けたものです。

分散型ID (Decentralised ID)と検証可能な証明書(Verifiable Credentials)の標準規格とは

NECの次世代旅行ビジョンの中心にあるのが、分散型ID(DID)と検証可能な証明書(VC)です。これらはW3C(World Wide Web Consortium)が定義するオープンなウェブ標準であり、IATAやACIといった航空関連団体が業界ガイドラインとして採用し、実用化を進めています。

すなわち、W3Cが“言語”を定義し、IATAとACIが空港・航空会社がそれを共通言語として使えるようにするという構図です。

DIDとVCは連携して「自己主権型アイデンティティ」を実現します。個人は必要最小限の情報だけを選択的に開示しながら、自身の身元とデータの有効性を安全に証明できます。これは航空業界が強く求める利便性でもあります。

この仕組みでは、個人データの管理権限が空港や航空会社ではなく、旅行者本人に与えられる点が特徴です。

旅行者自身がスマートフォン上のデジタルウォレットに資格情報を保管し、必要に応じて必要な情報のみを提供します。一方、政府や航空会社などは、旅行者が使用するための資格情報を発行するという役割を担います。さらに、チェックインや搭乗口ではデジタルウォレットに保存された、旅行者自身が選択的開示する情報を空港・航空会社が検証・確認することで、プロセスを完結させます。

これにより、データ管理の主体が旅行者自身にありながら、航空会社や空港側の確認機能も損なわない効率的なシステムが構築されています。

NECは、空港の既存インフラと柔軟に統合できる“プラットフォーム・ファースト”の戦略を採用しています。野村氏は、NECの強みは発行・検証の裏側にあるバックエンドのマッチングシステム、生体認証プラットフォームにあると説明します。

利用者を増やす鍵

シームレスな旅行の最大の課題は旅行者による「データ登録・活用(enrollment)」です。これは乗客のパスポート情報・旅行情報などを取得・確認する最初のステップで、従来は空港のキオスクやカウンターで行われてきました。NECはこのプロセスの多くを、乗客が自宅で自身の(モバイル)デバイスで完了できるように再設計し、安全なデジタルIDと生体認証を中心に据えています。

NECはすでに、顔・パスポート・搭乗券を組み合わせた“トークンベースの生体認証”による旅を実現しており、一度登録すれば以降のタッチポイントはすべて顔認証で通過できます。アジアの一部の空港では98%の登録率を達成しています。

さらに、複数の空港・航空会社間で資格情報やトークンを相互利用できるようにする取り組みも進めています。これにより、出発フローは67%速く、保安検査は94%速くなりました。乗客は空港でゆっくり過ごすことも、ギリギリに到着してもスムーズにゲートへ向かうことも可能になります。

デジタルトランスフォーメーションと大規模普及のための標準規格とは

ポストコロナでの需要回復とアジアの急速な旅客増により、業界全体の協調が求められています。野村氏は「乗客数は今後15〜20年で3倍になる可能性がある。現状の空港では対応できない。唯一の解決策はデジタルトランスフォーメーションだ」と述べています。

IDのデジタル化、日常的なチェックの自動化、そして“信頼できるIDが旅行者とともに移動する”仕組みの標準化が不可欠です。標準規格の成熟と普及により、「自宅からゲート、そして海外へ」紙もストレスもない旅が現実味を帯びています。

NECが地域の航空会社・空港・政府に伝えたいメッセージは明確です。それは、NECが単なるテクノロジーベンダーではなく、共に未来の旅行体験を設計する“戦略的パートナー”でありたいということです。野村氏は「私たちはソリューションを提供できると確信しています。単なるプロバイダーではなく、共に創り上げる存在を目指しています」と締めくくりました。

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